『砂上』桜木柴乃

003_2017122020402012d.jpg

とにかく面白い小説でした。
小説の新人賞に応募し続けている四十代の主人公、柊令央(ひいらぎ れお)の前に女性編集者、小川乙三(おがわ おとみ)が突然現れて、令央に長編小説を書かせようとするところから始まります。

「一日に書ける原稿枚数って、どのくらいですか」
「多くて十枚くらい」
 どうしてそんな見栄を張るのか自分でもわからなかった。十枚書いた翌日はその満足感でまったくやる気が起こらないくせに。


編集者とのやり取りが何度か繰り返されます。

「やっとバランスの悪い理由がわかりました。詳しく書いてあるところと端折りすぎている部分が逆なんですよ。知っていることをアピールして、知られたくないことを端折るから創作的日記になってしまうんです。虚構は、端折りたいところを踏み込んで、嘘をついていますと嘘をつき、同時に現実を霞ませるものだと思っています」
 わかりますか、と問われ、ゆるゆると首を横に振った。


虚構から真実が見えてくる…、読み進むにつれて、その言葉の意味するところがはっきりと理解できるようになって行きます。心から感動を覚えるような小説を書くというのは、こんなにも苦しいことなのだと思い知らされます。
心を削って書く、自分が知りたくない自分をこそ直視する。

小説自体もとても面白いですし、小説を書くとはという視点でも読ませます。



にほんブログ村 旅行ブログ 女一人旅へ
にほんブログ村

コメントの投稿

非公開コメント

プロフィール

月

Author:月
関西在住のアラフィフ会社員です。
「のんびりゆったり楽しく暮らす」生活に憧れています。今はまだ修行の日々です。

検索フォーム
最新記事
カテゴリ
月別アーカイブ
メールフォーム

名前:
メール:
件名:
本文:

フリーエリア
QRコード
QR